2008年12月24日水曜日

お金のイメージ「ハーメルンの死の舞踏」




作者のミヒャエル・エンデ。
個人的にあまたの作家より親しみを感じるのは、著者と誕生日が同じだからだ。
いや、内容も素晴らしい。
戯曲として描かれている「ハーメルンの死の舞踏」だが、
最大の魅力は、お金が表現されていることだ。

地上のあらゆる物質と交換でき、時には
生み出した人間達の精神や誇りまでも破壊する力を持つ。

ある意味では魔法。

エンデは、それを象徴的意味を込める。

繁栄した町の地下には、巨大なネズミ大王の魔像、
これがぐるりと一回転すると、金貨を一枚
尻からひねり出す。

その小金の輝きの不吉な影のように
同時に
ネズミが一匹生まれる。

欲と権力にからた者達によって、町はネズミだらけ。

このイメージはいったいなんだろう…
と考えていたが、
瀬戸内海にある小島、別子銅山を見た時に、エンデのこの作品と同じだと思った。

地下に埋蔵されている銅を採掘、それを精錬するが
掘り出せば掘り出すほど
周りは公害に見舞われる。


光があればそこに影があるように
聖と俗の忌まわしさが潜んでいることを作者は描く。
しかし
これほど明確なイメージで「お金」が表現された作品を私は知らない。