2010年5月16日日曜日

「犬の人生」マーク・ストランド

どんな内容なの?

きかれて答えるのは難しいが、
例えば、
就寝前の連れ添った夫婦が
ベッドにいる。

主人の方が耐えられずに告白しようと、悩む
妻の方は、言いたくなければいいのよと、
先きをきくのを恐れるが、
その告白が自分が犬だったと話すところから、
一気に怪しくなる。

訳者の村上春樹は、散文と解説していたが、
どれも面白い散文集。

近頃、「新参者」という
なかなか面白く放映時間を限定したドラマを見て、
別なことを思った。

この原作を読むつもりはないけど
ひょっとしたら、意識せずともドラマを想定しての原作が
既にあるのかと思った。
ならば、ドラマ化とか映像化できない
小説や文学の魅力もよりはっきり
意識されるのかもしれない。

その点からストランドの散文は、ちょっと
知的な実験的な映像作品のようだ。

2010年5月15日土曜日

本の虫干し-堀辰雄

日本文学全集26、堀辰雄の書籍は随分昔
いただいた物で読む機会のないまま取りおかれていた。

よりによってどうしてこの本を
選んでくださったのか…

読み始め、堀の文章に触れるうち思い出した。
「浄瑠璃寺の春」
という随想が好きだったからにちがいない。

それ以外に知らなかった作家だが、
「菜穂子」「幼年時代」は往年の木下恵介とか
松竹あたりの映画を思わせる楽しさがある。

それは非アメリカ映画で
ストーリー展開の巧みさでみせるのとは
違った独特のモノクロ作品のあれだ。

堀辰雄の小説には、その場面に
無花果や楡の木が描かれるが、
まるで人生というのは樹木と共に
記憶されるべきだと言うようだ。