2012年5月31日木曜日

「黒澤明の遺言」都筑正昭


もともと演出も見事な黒澤が溝口健二や小津安二郎のような独自の映像空間を持つ
監督になれたのは、望遠の使い方にある。
映像作家にしたのは、望遠レンズ。こいつを独自にしたことだ。

不思議な距離感、あるいはつぶれた距離感がより日本的絵画性を作り上げている。
いや、東洋的絵画性というべきか。

これと対照的にキューブリックは広角レンズを独自のものにした。
この遠近感覚はやはり西洋的だ。

どちらも強い映像だが、民族的な感じがするところに巨匠たちのすごさがある。