盲目の語り手ホメロスの「イリアス」
をアレッサンドロ・バリッコがリライトした。
まず、ギリシャ神話にあるゼウスたち神が
人間に介入するパートを削る。
そして、重複を縮め、
この省略されているのは、
こうであろうなという追加がされている。
そのため読みやすくなっている。
どことなく、ブラット・ピットが演じたアキレウスの「トロイ」
が思い出される。
しかしあのハリウッド映画にないのは、
集団での戦闘がどのようなスタイルだったのか、
の殺戮シーンに仮説がないことだ。
なるほど、それはバリッコ版でも、
ほぼ十年の間戦闘の日々を繰り返し、
日々は、ひょっとしたらと、幾つもの想像が入り込む。
倒した名のある兵士たちは、武器をはぎ取られ敵側へのみせしめとなる。
いかに、神の庇護受けているか、無数の兵士を鼓舞する。
だいたいそうしないと、
どこでどうなっているのか
戦場の全貌はまるっきりわからないじゃないかと思う。
たしかにホメロスの煉瓦で積み上げたが、
戦争の現代的な問いかけになっている。