2012年8月30日木曜日

「佐渡金山」磯部欣三

佐渡へ行ったのは随分前のこと。
この本はさらにそれ以前のものだが、佐渡の歴史がよく伝わってくる。
数年前に近くの古本屋で見つけて更に数年眠らせた文庫本。
読み始めると、旅に出たような感じになるのは、著者がよくよく佐渡を歩きまわったからだろう。

佐渡はあの島の形状もそうだが、実に神秘的だ。
行こうと思ったきっかけの一つが宮本常一の本だったかもしれない。
金山の坑道にも入ったが、粉雪が舞う季節なのに、あんまり暑いのでびっくりした。
やはり足尾銅山に入ったが、あっちは寒い。確か夏だ。
地底の中も核も違うものかと思った。
あんなところで無宿人のように水替えなんかさせられたらたまったもんじゃないと、つくづく体感した次第。

この本を読むと、島の風景が蘇ってくる。「山椒大夫」の厨子王がよくやく盲目となった母と出会うところもこの神秘の島、佐渡にある。

2012年8月5日日曜日

「若林奮 犬になった彫刻家」酒井忠康」

評論家と作家の関係の羨ましい本だ。

若林奮の彫刻を見た時の違和感はなかなかだったことを
読んで思い出した。

彫刻とは何か、自分は何を彫刻だと思っていたのか
などなど
を考えさせてくれるが、それが三十年近くたっても
奇妙な印象として残っている。

そう言う違和感の体験の
位置を占めるだけの作品が存在するとしか言いようがない。