2010年10月16日土曜日

「地上のみ知らぬ少年」ル・クレジオ


前回のスタインベックから続いてノーベル賞作家の小説だ。
それにしてもこのノーベル賞、なぜか受賞作の小説が
よくない。いいのにあたっていない気がする。

このクレジオのもはじめて読む。

この本はどんな風に読んだらいいのだろう?

まずもって「ダ・ヴィチ・コード」みたいな小説じゃない。
フランス人の作家だ。
フランスと言えば、マルグリット・デュラスもいれば
「大人は判ってくれない」のある国だ。

小説と映画には特に独自のテイストがあり、
まずもってエンターティメントのひねりも意味も異なるお国柄。

ちょっとサンテグジュペリの王子様がこの地上にやってきたような別バージョンのようでもある。
その日の、その時に来た意識の海に浮かんだ言葉をすくいとっている。
断片的で哲学的、
そういう本はありそうだが、350ページの本なのだ。


どのジャンルにも属さない物語がこうして出版されるのがフランスだと思う。

読んで行くはじから消えて行くような文章だ。

「人間は言葉のせいでこの世に生きるもののなかで最も孤立した存在になってしまった。
沈黙と手を切ってしまったからだ。」

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