2011年1月22日土曜日

「北野武による「たけし」」ミシェル・テマン

まずこのインタビューに興味があった。

フランス人の著者との間を
ペナンの語り部の系譜にあるゾマホン氏が通訳で繋いでいる。

その様子はなかなか想像しがたい
いつもの北野武の一人称的語りで
著者の姿が容易に感じられない。

だが相手がいるだけのことはあり、通常ならおそらく語らない
ところにも及んでいるように思う。

スタンリー・キューブリックが好きだと言うのは、とても意外な気がした。


あわせて「HANA-BE」を見たが、
シーンとシーンとのカットがいつもながら強い。
不思議な緊張感がある。

黒澤明が「夢」のスケッチを北野武に送ったそうだが、
天才は天才を知るということか。

2011年1月7日金曜日

「ねむり」村上春樹


電子書籍が話題だけども、本には書籍としての物質性がある。
以前フィレンツェのサンマルコ修道院にある図書館で「本」を見たら
動物の毛がついた表紙で、鉦の鋲が打ち込まれ、鎖までついていた。

しかもかなり重そうだ。

それに比べたら今の本はかなりカジュアル。

それとどうも日本では通勤読書が大きな優位性をしめるためか
書籍としての本にあまり個性を求めぬ傾向がある。

だからこそ、電子書籍なんだろう。

しかし、そこばかりではつまらない。

この小説は文庫で読んだ短編だけど、
こんなふうに何枚もイラストが入った書籍にすると、
ずいぶんと違った印象になる。

そういうポイントとコンセプトで
もう少し本という世界を変えてもらえたらうれしい。

内容の方もこの不眠症の女が前より輪郭がはっきりしている。
その分のせいか、終わりの
閉じ込められた車のインパクトが変わったように感じた。

どちらが好みかはそれぞれだろう。

今度は、手直し前の「眠り」の方を再読してみようと思う。