2013年7月25日木曜日

「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」


相変わらず面白い。

この作品の魅力のひとつは、
つくるが四人の親友たちから受ける突然の絶縁だ。

しかもそれが後になって当人の知らぬ事実ではないこと、
更にそうせざるを得なかった事情にある。

そうなった経緯も、その後に起こる悲劇も、小説にありがちな突飛さがなく、
あるかもしれないと感じられる点だ。

また作者は、どの作品もだけど作中の人物のつけ方が上手いのも特徴だろう。

今回は名付けの由来が語られているが、
「多崎つくる」の
幾何的にして鋭角なプリズムの形象をイメージさせる名前と、
光を受けて視認できる色彩と色温度が重なる人物の対比が面白い。

        色即是空。

  音楽的なところが素晴らしい。

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