懐かしさに魅かれて文庫本を手に取る。
「紐」は大昔…たしか教科書にあったような記憶…。
「ピエロ」が秀逸。
まるで短編フィルムのよう。
田舎風の未亡人の顔までありありと見えてくる。
話も面白い。
このやや見栄っ張りでケチな未亡人の家に
盗人が入り、女中が不用心だから、
犬を飼った方がいい、と助言。
未亡人が気になるのは、泥棒よけの犬の食費。
パン屋から、かねてより手放したがっている
子犬を貰い受けるが、これが飯の時しか吠えない。
吠えるよりも甲高くきゃんきゃん鳴く。
そのうち情がわくが、税金がかかると知るに及んで、
とんでもないと、大慌て。
近くの坑道の穴に捨てるが、その夜から後悔に苛まれる。
穴に声をかければ、可愛い犬の声。
穴掘り人夫に頼むが、費用を聞くと腹を立てる。
ご飯を与えればいいと女中。
パンにバターをつけて穴に放り込むが、もう一匹明らかに
大きな犬が放り込まれている。
因果を含め、オマエのパンダと投げるが、声の様子では
ピエロのパンはもう一一匹に喰われ、情けない声で吠える。
悲しいやら情けないやらの未亡人だが、
他所の犬を養うつもりまでない怒りをぶちまけ、
なき女中と帰るという話だ。
キ・ド・モーパッサンは、この前に呼んだ「ボヴァリー夫人」のフローベール
の親戚とかで、師事したとある。
もっぱら、お金がいる為に、新聞に短編を載せたという。
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