2020年5月17日日曜日

タイの文学「アジアにかかる虹」「業の罠」

バンコクでの感染対策報道を観る。偶然、いや
こういうのは偶然とは表現しない。
必然的だがバンコクのスラム街、
クローントゥーイの取材でプラティープ女史が支援を訴求する姿が映し出される。

その彼女の人生を紹介するのが「アジアにかかる虹」。
とくに予備知識もなく読んだが、不思議な構成だ。
目覚しい発展のタイの陰、そのスラム生まれの少女が働きながら小学生、
高等師範夜間部を卒業し、
劣悪な環境のスラムで私塾の学校を創り運営していく。

そのスラムの子供たちと住民たちと生活の改善のために闘いと功績を
プラティープ女史の描いたのが本書で、
あわせて都市問題から派生するスラム問題、
その住民の性格や考え方について知識を深める報告書ともなっている。

つまり女史はいまだに元気で活発にこのバンコクのスラム街で活動している。
かつてはこの本にあるようにバンコクの低所得層の住処だったが、
現在は海外からの労働者たちの場になっている。
スラムに変わりないが、内容が変わっているのだ。

「業の罠」ドゥアンチャイ著。

派閥なしの男が一種の権力均衡の果て学部長へ、
妻帯者の彼と美人先生との不倫なのだが、
タイの文学の新鮮さは、不倫恋愛と大学制度との現代的な社会問題を
絡ませているところだろう。

普通なら枠組みしないものが同居する面白さのような気がする。
それが風俗的ならないのかもしれない。

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