イタリアの女流作家ナタリア・ギンズブルグの小説。
それを訳したのは、須賀敦子。
翻訳的障害などまるで感じないほどの
文体は、どっちの小説なのかと思えるほど。
ここに描かれるのは、すべて手紙形式から伺える人々の
人間関係やそこに生まれる錯覚的な愛や出産、
引っ越しや友人のことなどが見事に心理的に描写されている。
小説よりも、印象は映画に近い。
それも「湖のほとりで」とか、「息子の部屋」のような
筋をのぞいた人物描写の撮影だ。
映像と違うのは、
手紙の描き手との距離や温度が伺えることかもしれない。
最初のとっかかりが難しいかもしれない。
なぜなら、いきなり
手紙なのだ。
手かがりに困難するが、まずかまわず読んで行けばいい。
すぐにはっきりと人物像や部屋が浮かび上がってくる。
マンゾーニを書いたナタリアの作品も
もう一度挑戦してみようかと思う。
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