彼女の死の直前の回想記になっている。
この本の映画化もアンヌ・ヴィアゼムスキーが70歳で亡くなったのも最近知る。
17歳のときブレッソンに発見され、「バルタザールどこへ行く」に出演、
この撮影を見に来ていたジャン・リック・ゴダールに追いかけられて結婚。
その回想を最晩年にアンヌが書く。
読んでみたなったのは、
19歳未成年が年上男と結婚に至ると言うきわめて下世話で個人的な謎だったが、
すぐにアンヌ・ヴィアゼムスキーにはその準備ができているがわかった。
あまりにも条件が揃っている。
この時一筋ならではない名匠ロベール・ブレッソンの映画で悲惨で
けなげな小娘を演じるが、実家はブルジョワ。
ガリマール出版の一門であり、フランスを代表するノーベル賞作家
フランソワ・モーリアックの、直系の孫娘だ。
この背景だけで既に平凡、一般的なものがありえようもない。
常識の枠がないのは、考えてみれば当たり前だ。
「私が好きな人は私と同い年」というアンヌに、家族が騒ぐ。
いいたい放題が如何にもフランス的だ。
この恋愛劇は映画以上で、永遠に大人になれぬゴダールが滑稽だが、
アンナ・カリーナと別れたばかりのこの男は必死に食い下がるのだ。
凡人のように映画にでてくれとは言わない。
結婚しょうと言うのだ。
それが映画の為か欲望の為か…、おそらくその両方。その結婚が長く続くとも知りつつも
直感的にかつ本能的に知り得ているところがゴダールをゴダールにしている。
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