先の佐藤春夫。荷風を慕い慶応へと、そして小説家となりし。
ならば 次は永井荷風。
「幻魔大戦」
動画による映画化をキャラクター制作時から愉しみだったが、
封切りを遠慮した。見たのはテレビ放映。
監督のりんたろうは意欲作。キース・エマーソン音楽だけにあらず。
キャラ設定に大友起用したが、
どうして主役声優が、あれなのか…、「巨人の星」。
どちらもシスコン共通性が結びつけたか、
これがつい解せず、声が許せなかった。
キャラ声。
信用できるかどうかだけなのだ。これは駄目。
この一点で見送った。
さて。ここに敵、幻魔カフー。これが
かの荷風先生だとわかったのは、最近。何故か 突然、そうか、
モデルはこれか! 大友おそるべし。
その荷風の「濹東綺譚」。
玉ノ井、白鬚橋、東向島は、かっての街娼のひしめく町。
関東大震災で焼けだされた吉原が移転、私娼の人々が商うここは、
今やスカイツリーが…
懐かしい町だ。
石巻出のくせに、東京がほんとうに長い。
本所横網の私立ぼっちゃん中高に江戸川から早くも六年通った。
まだ路面電車が走り、貸本屋上がりの古本屋などたくさん、
両国の相撲取りが歩く江戸の名残りさえあった奇怪な町。
知りうるきっかけはこの辺りが地元だった同級生たち。
そう言えば、「ハリスの旋風」、岩波先生の、
モデルとなりし本人の息子もいた。
学校帰りの楽天地で怪しげな連中に券を頂戴し映画を見た。
荷風も玉ノ井を描く滝田ゆうも、何が懐かしいかって、
あの江戸っ子方言だろう。
落語も時代劇もいきなり立ち上がる。
あの映画、「オールディズ三丁目の夕日」じゃなく
やってもらいたかったのは寺島町の夕日だ。
新藤兼人が撮った映画もこの際見よう。
谷崎も荷風も老いてますますの女好き文士。
若い細君を伴侶にこれをミューズとした谷崎。一方の荷風、
一人暮らし、細君なんぞいらないが己の都合で会いに行くのがいい。
尾道にきてそれを感じたのは新開。
ちと新宿ゴールデン街にも似ているが、北前船からの花柳街。
その残滓は今なお残っている。
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