2020年5月3日日曜日

三島由紀夫全集「天人五衰」


「暁の寺」に続き、「天人五衰」を読む。
覗き趣味老人本多の養子となる透は作者の悪なる分身なのか…。
必ずしもも読みやすいとは言えない。
やれやれ、こんな漢字があるのかと辞書をひきながらの読書も三島ならではだろう。
記憶では三島は文章につまると辞典を見る、すると描けるようになったとか。
読む方にしてみると、その逆か。

この章はなかなか面白かった。
さて、風変わりかもしれぬが、いっその前に「春の雪」戻りも読んでみようと思う。
年表からすると、三島をこれ、「天人五衰」を書き上げた年、
自衛隊での自決を敢行、その後の作品を読む事は叶わなくなった。

この人は。
自衛隊自決があり、若きアイコンとタレント的性格であの風貌が流布している。
その割にかれの位置づけが不明まま彷徨っていたが、
三島バイオグフィをあらためて見ると父親世代なのだ。
また義理の父と似たような金持ちのせいなのを文の中エッセイあたりに感じる。
よく言っていた3S。
アメリカの日本支配権化にする為の戦後政策で、三つのSとは、
スクリーン、スポーツ、セックス。
これを日本人に与えれば、帝国的乱暴者から解脱すると言う見解。
なるほど言われてみれば、
             そのとおりなのだが…

全集は小説以外も納められているから、周辺も知るのだけど
三島は川端康成の媒酌人で画家の娘と結婚している。
あのスフィンクスの絵。杉山寧の娘だ、
竹橋近代美術館ではじめてみたときには
あの蒼い背景に浮かぶスフィンクスの顔が印象的だった。

もちろん 美大生を目指していたから
正直に言えば、これ、日本画なのか…とか、なんでこれ描くのか
など息の荒さばかりできちんと評価なんかしていない。
しかし忘れがたい
絵の力は未だ頭に残り、あのスフィンクスに謎かけられたままだ。

そして
 これが己の三島由紀夫文学のイメージの一つでもある。



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