とにかく一気に読めた。
ファンタジー賞受賞作ということなのだけど、
そこがどうなるのか…、あとがきで作者も記していたが
読んだ方もファンタジーとは何かわからない。
どちらかと言えば、物語の磁力
とでも呼べばいいのか、
その強さがあるように思う。
確かに主人公の小野たかむらは、
異母兄弟の妹を過失で死なせてしまうが、
彼岸であうことはない。
その冥府の通路を彼が開けても
出会うことはなかった。
ここには、
高畑勲版「火垂の墓」で、あの兄弟が
成仏などしていない冒頭のようなリアリティが感じられる。
そしてさらに言えば
もうひとつ。
高畑の凄まじいところは、かれらの両親も、
焼け出された洞穴の住処をさまよう。
少年は妹に、天国に言っていると嘘をつく
ほんのわずかなシーンがあった。
あるのとないのではまるで意味が違う。
もうひとつ、
この「鬼の橋」
にそんなシーンがあったらと思う。
0 件のコメント:
コメントを投稿