2009年4月4日土曜日

「エル・ブリの一日」



この大判の分厚い本を紹介するのは難しい。
まるで一本の上質な映画を見るようだ。

これはスペイン、バルセロナからさらに
先きにある風光明媚な場所にあるレストランの
一日をドキュメントした本。

風光明媚とは逆に、
一元の旅行客には容易に
行けぬ場所。

しかもこの店「エル・ブリ」は約半年ほど
一日一回転しかしない。
スタッフは来客人数よりも多い。

つまり、通常の店舗ではない。
なんどか世界のレストランのチャンピオンになった店。
メニューがなく創作料理のみ。

それが実に刺激的なのだ。
わたしは、世界の中で日本料理は,特異な位置を占めていると思っている。
理由は、あれほどつまり、西洋料理や中華のように油を使わない
料理はないと思うからだ。

かならずしも、料理の仕方が火力ではない。
こうしたところにも、豊かな幅広い食卓を構成する
原因がある。

このエル・ブリは、新たな料理法をつくることの為に
店とい一応の形状を構成しているが、その
料理の仕方の活路を全く異なった方面から
握っている。

しかし料理の本ではない。
好奇心の本なのだと思う。

創造性とは模倣しないこと。

このエル・ブリのボス、フェラン・アドリアは
それによって料理の師や伝統と決別し、創作世界にのめり込んで行く。

しかし大抵の店が、創作の看板を掲げ、数年の賞味期限であるなか、
彼は学校とは違い、多くの学び成長しようとする者たちと
このエル・ブリを運営する。

店でも学校でもない、最先端の場所は刺激的だ。

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