2009年6月7日日曜日

「荒涼館」チャールズ・ディケンズ


「荒涼館」を読み終わる。
一月半くらいでこの長編小説を読んだ。

世界文学全集の装丁の、
机でないと読めない重さ。
いや、
それよりも、三段式の文字組に慣れるまでが大変だった。
こんなに読みにくいのもない。

だけではない。
たぶん、ディケンズの物語世界の大きさのせいだ。
それは私などがストーリー中心として読む
習慣性の違いが大きい。

こういう長編の読書体験はとても格別な感じがある。
その格別な長さこそが爽快さを産む。大抵の現代小説のようにストーリーが中心ではない。

むしろ細部の、空間や雰囲気、または社会的事情などのいわば横道の方、
そうした枠の大きさがワイドかつ鮮明なハイビジョン的。

ここがまずもって得難いところだ。
それがストーリーの流れを鈍くしているが、

そこには今の時代にはない時間感覚とテンポの魅力がある。
宮崎漫画の描写にも通じる読みにくさがかえっていいのだ。


そしてそういう濃度でしか、体験できないのが、
ドストエフスキーとかトーマス。マン、
ディケンズとかの文豪の長編だろう。






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