森絵都の「ラン」
数年前よりデビュー作から読んでいる作家,森絵都。
日本の児童文学にあって
リアリティの重さを取り込んだ
なかなかすごい存在だと感心した。
何しろ裕福な消費大国の、
児童文学なのである。
大抵なら何を書いても嘘くさくなる
はず、まずここがこの作家のすごさ。
いつのまにか直木賞受賞し、その第一作。
皮肉なことに、大衆小説での分野では
森の良さが今ひとつ鈍い、そう思うのは私だけか。
その辺りがすぐに読まずにいたことと関係はあるが、
それは個人的なことだ。
460ページほどだが、丸二日。
ディケンズなら、50ページ分くらいか。
誤解されると困るが、内容がないわけではない。
確か、作者もこれを描く為に40キロ走ったとか、
走らなかったとか
いう執筆に関する記事を目にしたが、
(…ほとんど、正確ではないのであしからず)
そういう体験的なやり方の方に興味が行った。
やりたい体験より、やりたくない体験の方が
小説としてはいい気がするが…。
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